シュガー&スパイス
見ると、サングラス姿の英司がいて、眉を下げて笑うと「みんな遅いな」って言った。
「ほら、腹減ったろ?」
「……あ、ありがとう」
ん。と少し強引に手渡され、まだ温かいホットドッグが食欲を誘う。
そして、英司はあたしの隣に人ひとり分あけて腰を落とした。
「……」
英司、いたのか。
そりゃ、そうだよね。
友里香さんは千秋連れて行っちゃったし。
って、それがおかしいんだけど。
だって、英司と友里香さんは婚約者同士なんでしょ?
チラリと見ると、長い足を組んで思い切りホットドッグにかじりついた英司がいた。
サングラスしてるから、どこ見てるかわからないけど。
でも、目の前の真っ白な砂浜を見てるんだろう。
「……。いただきます」
あたしは自分の手元に視線を落とすと、遠慮がちに口を開けた。
少しかじると、口の中に広がるスパイスの香り。
それは、舌をジンと痺れさせた。
ザァーーン
ザザーーーン
しばらく話すことが見つからず、お互い黙ってホットドッグを頬張っていると、先に食べ終えた英司が沈黙を破った。
「悪かったな」
「え?」
思わず顔を上げる。
英司は相変わらず前を見たまま。
だけど、それからしばらくまた黙って、そっとサングラスを外した。
切れ長の優しい瞳が現れて
懐かしさに胸がドキンって鳴った。
英司と別れてから、もう4ヶ月。
その瞳に愛されていたのが、ずっと昔のような気がした。