シュガー&スパイス



「気になってたんだ。 あの次の日、いつもと変わらなかったけど……最近様子変だなって」

「……」





“すれ違い”


“運命の歯車”


“必然”



ふと、あの言葉がよぎる。


でも、今週はたまたま会えてないだけで……。
あの夜は、いつもと違う英司が見られて……。



「……」



違う、英司?


そうだ……。
あの日の夜、英司はいつもと少し違った。

あんなに激しくあたしを求めてきた英司は、今までなかった。




ドクン




胸が重く鼓動を打った。




「……、菜帆?」



ハッとすると、倫子の大きな瞳が心配そうにあたしを覗き込んでいた。

すぐさま、言葉が出てこなかった。



「あ……、ごめん。でも、ケンカもしてないし、特になにもないから大丈夫」



ケラケラと笑って見せた。



「……そっか」



倫子も安心したように、ため息をついた。




< 59 / 354 >

この作品をシェア

pagetop