歩み
その反応を待っていたんだよ。
俺はその反応を見たかったんだよ。
特別だからかな?
沙紀に関わっていたいんだ。
「俺、天才だからさ?」
富田との約束なんか言えるかよ。
携帯が欲しかったという理由ならまだしも、携帯が欲しい理由を知られたら顔から火が出てしまうよ。
だって、その理由は、
沙紀との距離を縮めたいから…だから。
「まぐれなんじゃないの?それかカンニング?」
沙紀は笑いながらこう言って、俺に成績表を返してきた。
まだその現実を受け入れていないような気がするが、夢じゃないんだよ。
本当なんだから。
頑張ったねって褒めてよ。
「まだ嘘だと思ってるだろ?なぁ、なんかご褒美ちょうだいよ!」
沙紀に向かって手を差し出してみる。
くれるわけないけど、一応やってみた。
「なにが欲しいの?」
半分冗談なのに沙紀は本気に捉えてしまったのか、耳に髪の毛を掛けながら言葉を漏らした。
…俺が欲しいのはお前だよ…
こんなこと言えるわけない。
だから我慢するね。
「俺、沙紀の携帯番号とアドレス知りたい…。」
教えてくれないか?
俺、お前と近づきたくて頑張ったんだよ。
連絡先を手に入れないとせっかく買った携帯の意味がなくなってしまう…。