歩み


一人で焦っていたんだ。早くしないと完全に沙紀は司のモノになってしまう。
それを早く阻止したくて、だからこう言ったのかもしれない。


沙紀は冗談だと思って軽く流すだろう。



「…番号とアドレス?なんでよ?」



沙紀は俺を見てこう言う。
教えてくれるのか?という期待を胸に、理由を話す。
本当の理由なんか言えないけど、それに似たような言葉を探していた。



「教えて欲しいなって思って。俺、携帯買ったばっかで、寂しくてさ」




下手な嘘。
そんな嘘、すぐ見破られてしまう。
けどこれしか思い浮かばなくて、しょうがなくこの言葉を言った。



沙紀が教えてくれるとは決まっていないのに、教えてもらう気満々な俺。

笑顔を浮かべて、教えてもらえるのを待っていると、沙紀は聞こえるくらい大きな溜め息を溢した。



「なんで教えなきゃいけないのよ…あたしたち仲良くないでしょ?」




沙紀の言葉に、ダメージを喰らった気分になった。
《仲良くない》
この言葉に寂しさを感じた。


俺たちは、仲良くないの?



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