歩み


誰かが言っていたっけ。「心は硝子でできている」って。
ドラマの主演の男優が言っていたのを今ふと思い出した。


その嘘くさい言葉は本当かもしれない。
今はっきりと聞こえた。…ぱりんと硝子が割れるような音を。


俺の心も硝子で出来ているのだろうか。
じゃあその砕けた破片で心臓を刺してくれよ。



そんな願いは叶わないまま、時間だけが過ぎる。



「…あっそ。大嫌いなら大嫌いでいいよ。もう話しかけねぇよ」



大嫌い。
この言葉で俺の心は割れた。
一番聞きたくなかった言葉だった。
告白をする前にこんなことを言われたら、もうなにも出来なくなる。


諦めるしか道はないのかな。


意地っ張りな俺は、沙紀に背中を向けて、空を眺める。
濁って汚い空を。



空は知っていたの?
こうなるって。



賑やかな教室の中に、
涙を堪える男と、涙を流す女がいた。
二人の気持ちは交差していく…。




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