歩み




その時間の休み時間、俺を心配したのか、隼人が慌てながらこちらに向かってきた。
沙紀は明日香と教室を出て行ってしまった。
居づらいのだろう。
去っていく沙紀の後ろ姿がそう言っていた。



「歩!お前どうしたんだよ!さっきなんか言ってなかったか?」



今は話しかけない方がいいよ。
最上級に腹立っているから。



俺は隼人を冷めた目つきで見て、怒りを露にした。



「うるせぇよ。お前に関係ないし。一人にして」



心配してくれる友達を蹴って、一人を選んだ。
最低だよ、そんなこと知っている。


けど、なんて言っていいか分からなくて…
頭の中が真っ白なんだ。ただ浮かぶモノは、
沙紀が言った「大嫌い」という言葉だけ。




「なんだよ、それ。
心配してやってんのに。もういいわ」



隼人は怒ったのだろう。いつもの口調ではなかったから。



ごめん。
今は無理なんだ。
体が動かないし、思考回路も途切れてしまった。


俺はまるで操り人形のよう。





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