歩み


明日香の言葉が、否定できない俺がいた。

気付いたばかりの自分の気持ち。
それを素直に言わなくちゃ、明日香が傷ついてしまう。



「俺…ごめん…俺は…」



時計の針が、ひとつだけ未来へ進んだ。
その未来に期待をして、俺は生きている。



「…俺は沙紀が好きなんだ…」



ごめん。
俺は明日香の気持ちには応えられない。
明日香はいい女かもしれない。
けど、沙紀が大きすぎる。

今日「大嫌い」と言われたけど、嫌いになれないんだ。
むしろもっと大好きになっている。


沙紀が、俺の中を埋め尽くしている。



おそるおそる、明日香を見ると、明日香はシャープペンシルを動かすのをやめて、泣き出しそうな表情を俺に見せてきた。

なんて言っていいのか分からなくなり、言葉を詰まらせる俺。



「…やっぱり…そうなんだね。なんとなく気づいていたよ…」



なんて言ったらいいんだよ。
もう分からない。
今日は涙を見すぎている。


精神的に、辛い。



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