歩み


優は進んでいた。
俺たちが見ていない場所で。
気付いていなかっただけだったんだ。


優は一歩ずつ小林へと近づいている。


「そうなんだ。ありがとう」



俺は教えてくれた彼女たちに礼を言って、教室へと向かう。


真実を知りたい。
お前の口から聞かなくちゃ納得出来ないよ。



「歩!さっきの話は本当なのかな?」



隣では満面の笑顔を向けて興奮しながら言う沙紀がいた。



「まだ分からないよ。優に聞いてみないと」


気持ちだけが高ぶる。
気持ちだけが焦る。


生徒たちの間をすり抜けて、俺と沙紀は教室を目指した。
教室に行く途中に、どれだけの噂話が聞こえてきただろうか。
もちろんその噂話の内容は『鈴木くんと相沢さん』
優は有名人のよう。
けど噂話をしている人たちの会話の中で気になる言葉があった。
それは『相沢さんを振るなんてあり得ない』


この言葉だ。
これを言った人を殴りたかったけど、我慢をした。


優は素直に自分の気持ちを言っただけじゃないか。
お前らには分かるのかよ?
優の苦しさとか、
優の辛さとか。


分かるはずもないのにそんな言葉を並べるな。



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