歩み


好きだから壊したくない。


けど、好きだけど壊れてしまう時もあるんだ。
世界は平等に出来ていない。



「優は自分なりに考えているんだよ、きっと。時間が経てば答えを聞かせてくれるさ…」



生暖かい風が俺たちをすり抜けていく。
この坂を下れば、大きな交差点に出る。


見え始める交差点。
そこで信号を待っているある一人の人。
明るく抜けた茶色の髪の毛に細身の体。
大きめのカッターシャツが体が華奢だと強調している。


そしてきらりと光るピアス。
耳に沢山つけられたピアスが、俺に痛いと感じさせる。




「あ…歩…。あれ…滝川先輩…」



沙紀が小さな声でこう言葉を漏らした。
それを聞いた俺は、自転車を漕ぐのをやめて、坂に自転車を任せるだけ。


信号が青に変わる。
それに反応をする滝川先輩。
俺はブレーキを掛けずに、そのまま走っていく。

そして先輩の横を通る。


この瞬間、苦しさが涙と変わり、流れそうになった。
けどぐっと堪える。



俺は先輩に聞きたい。



何故邪魔をするのですか?



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