歩み
だから無意識のうちに自転車にブレーキを掛けていた。
車輪が止まる。
「歩?」
当然沙紀は驚いた。
無理もない、俺の勝手な判断だ。
「沙紀、降りてくれるか?ここで待ってて」
沙紀を自転車から降ろさせて、自転車を歩道に止める。
聞きたいんだ。
先輩の気持ちを。
それを聞いたら今後のことを考えられそうだ。
俺は先輩に近づいていく。
「滝川先輩。少しいいですか?」
ゆっくりと先輩が顔を上げる。
携帯をぱたんと折りたたみ、俺を見た。
優と全くタイプが違うと感じた。
そして先輩が俺を見つめる瞳が、過去を思い出させた。
この瞳、誰かに似ている。
体が震えた。
息が出来なくなった。
…司の瞳に似ている。
俺を恨んでいるときに見た瞳とそっくりだった。
「なにか用?」
「…あ…先輩は…」
言葉が繋がらない。
頭が真っ白になる。
けど無理矢理言葉を漏らした。
「先輩は…どうして邪魔をするんですか?」
すると先輩は怪しい笑みを浮かべた。