歩み
気付いていないのだろう。
体は正直なんだ。
自分の気持ちよりもっと。
体が正直だから求めたり、拒んだり出来る。
それを優はまだ気付いていない。
カップに入った紅茶を一口飲む。
意外と甘かった紅茶。
飲んでみないとそれが甘いとか苦いとか分からない。
恋もそうなのかな?
相手に触れてみないと幸せなのか不幸せなのか分からない。
優は小林に触れたら、幸せだと感じる?
「歩なら鈴木くんを助けられるよ。だから逃げないであげて?あたしも逃げないから。」
沙紀が俺の腕をぎゅっと握る。
温かい沙紀の体温。
寒い冬には丁度いい。
優、俺は逃げないから、お前の全てを見せてくれ。
幸せは何なのか、
苦しいことは何なのか。
そして小林のことはどう思っているのか。
聞かせてくれよ。
俺は逃げたりなんかしない。
頼むからこれ以上変わらないで。
見失うな、自分を。
見失ったら、
俺がまたお前自身を見つけ出してやる。