歩み



小林の夢。
今が結婚式だったら良かったのに…。
そしたら小林は夢を叶えることができたのにね…。



涙で視界が滲む。
俺は涙の速度をあげる。

そしてポケットの中からあるものを出した。
それは携帯だ。


残しておきたかった。
二人の愛のカタチを。



ゆっくりと携帯を二人に向ける。
そして、撮影ボタンを押したのだ…。



かしゃ…と小さな音が響く。
俺は二人の姿を携帯のカメラで撮ったんだ。

収めておきたかった。
そして見せてあげたかった。
二人に。



「あゆ…む?」



涙でぐしゃぐしゃになった顔で俺を見上げる沙紀。


俺は涙を流したまま、笑顔を作った。







「…また会おうな…小林…」






優?最後のキスは幸せだったか?
俺はこの写真を小林が帰ってきてから二人にあげようと思ったんだ。


けれどあげることはできなくなってしまった。




もし今、この写真をあげたら優は喜んでくれるか?



旅立った親友。
この日の空は蒼かった。





また会える日までさようなら。





また…会えると信じているから…。





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