歩み
もっと苦しいのは、
もっと悲しいのは、
優と小林のはずなのに、優たちより先に泣いている俺たち。
優たちは俺たちが泣いていることなど知らないだろう。
二人を思ったら泣けてきたんだよ。
切なくて、けど温かくて。
二人を直視できない自分がいた。
そんな時、別れの時間は来てしまったのだ。
空港にアナウンスが流れる。
それに従う人々。
これはカナダ行きの案内だろう。
ということは小林が乗る飛行機だ。
二人の時間はもう…無かった…。
俺は涙を拭いて、二人を真っ直ぐ見つめる。
俺の目に映った光景は、抱き合う優と小林だった。
初めて見た。
二人が抱き合う瞬間を。なんて綺麗なのだろう。
周りがそう演出しているのだろうか…。
二人の最後は綺麗だった…。
そして二人は、キスをしたんだ。
みんなが見ている前で。
まるで結婚式に行われる誓いのキスのように思えた。
『私の夢は鈴木百合になること』