歩み


「もうワケわかんねぇ…」



長い道のりではないのに、今日はやたらに長く感じる。
照り返すアスファルトが俺の体力を奪っていくのだ。


今日は後ろから隼人の声が聞こえてこない。
なにを期待しているのだろう、俺は。
バカみたいじゃん。


一人で教室へと向かっていく。
昨日初めて知った教室の場所なのにもう覚えている自分。
当たり前か、二階に上がってすぐ左にあるのだから。



「歩ー!おはよ!今日も髪の毛キマってるね!」


知らない名前の女が俺を評価していく。
俺は作り笑いをしてその場を過ぎていく。


しんどい。
朝からしんどい。

体の内部がやられている感じだ。


教室までの距離があとわずかなとき、誰かが俺の腕を強く引っ張った。


誰だよ、こんなにも強引に引っ張るヤツは。
危うく転びそうになった。
俺の瞬発力のおかげでそれを防げたからいいものの。


「だれ?」



俺はゆっくり後ろを振り返る。
そこには顔を下に向けた、沙紀がいたんだ。




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