歩み
沙紀を見た瞬間、さっきまで確実に存在したしんどさが無くなっていった。
それに入れ替わり、嬉しさが現れる。
「…沙紀?」
「ちょっと、きて?」
今日は怒らないんだね。俺が沙紀と名前で呼んだことに。
距離は縮まったかな?
沙紀の言われた通り、俺は沙紀のあとをついていく。
もしかして告白?
そんなわけないか。
なに期待してんだよ、俺。
沙紀は中庭のある場所へと進んでいるようだ。
もしかしてやっぱり告白?
そこへ近づくにつれて、期待と緊張が増していく。
そして中庭につき、沙紀は歩くのをやめて、俺の方に振り返った。
「…あのさ…」
鼓動がうるさい。
初めてかもしれない。
告白でこんなにも緊張しているのは。
「な、に??」
「これ、昨日のお礼!!」
沙紀が突然俺の目の前に差し出したものは、目を疑わせるようなモノだった。
可愛くラッピングされたプレゼントのようなモノ。
「は!?なにこれ!?」
透明な袋から顔を覗かせるモノは、甘い甘い誘惑。
「…カップケーキ…」
その味は、恋の味。
これが初めて沙紀からもらったプレゼントだった。