夫婦の始まりは一夜の過ちから。



「私だって行きたかった、よ」





ポツリとそう呟く。


アイドルは気付いていないと思うけど私だって夜景に凄く行きたかったんだよ?


私だって好きであっさりとああ言った訳じゃない。


見に行けなくなった理由が仕事だったから諦めがついたし、そして何より社会人なら仕事が第一だと思えたから。


だけど、何だかんだ言ってもそれをアイドルに対してではなく、自分自身に言い聞かせるように言っていたのかもしれない。





「もしかして…」





いや、違うよ。


そんな事は絶対に違うし、それはあるはずないのに…





「ただ久しぶり、だから」





こうして男と二人きりでどこかへ行くのは久しぶりだから。


だから、なんだよ――…






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