夫婦の始まりは一夜の過ちから。
まったくアイドルのくせに自覚してよ!と、思いながら踵を返そうとすればまたしても携帯が震えだし。
「だからそういう事は簡単に言うなんてバカじゃないの!?それにね、私はきっちりとした仲にならない限りもうしたくないから」
と、捲し立てながら電話に出てみれば。
『どうしたんだよ』
そんな声が聞こえてきて背中に冷や汗が伝うのが分かる。
――この声はアイドルの声じゃない。
「す、すみません」
『いやいーけど』
どうしよう…
携帯の画面には登録してないのか、携帯の番号しか表示されてないし。
万が一この電話相手の人が仕事関係の電話だとしたら…
『でも変わってなさそうで安心したよ』