夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「しかも自分のおかれてる状況に気付いてないし」
「どういう事…?」
「いい?ここはエレベーターで密室で、しかも俺は夏芽ちゃんを身動き出来ないようにしてるのに」
身動き出来ないように、って…
「あっ」
「言われてから気付いたって顔してる」
「ご、ごめんなさい」
アイドルがエレベーターに手をついた事によって、私は壁とアイドルに挟まれている事に気付く。
「あ〜、ムカつく!」
「そう?」
「俺ばっか夏芽ちゃんの事好きになってるみたいで!俺、正直いうと我慢してるのに肝心の夏芽ちゃんはこうだし?」
‘俺ばっか夏芽ちゃんの事好きになってるみたい’
そんな言葉がエコーがかかったように何度も何度も私の耳に届いてくる。