夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「伝わってない、んだ」
「夏芽ちゃん?」
最初は凄くアイドルの言葉が嬉しかった。
けど、よくよく考えてみれば伝わってなかったという意味にショック。
私はこんなにもこんなにもアイドルの事が好きなのに。
「好きだよ。私、いっぱいいっぱいアイドルの事大好きだよ。本当に大好きなの…」
泣くつもりはなかったのにつーっと涙が頬を伝う。
「これからはいっぱいちゃんと伝えてくから…」
「な、つめちゃ」
「だからもうそんな事言わないで?本当にい――」
‘本当に壱の事が好きなんだよ。自分自身が怖いくらいに’といい終わる前に言葉が途切れたのは、泣きじゃくる私の唇をアイドルが唇で、優しく塞いだから――…