夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「ごめんね。階のボタン押し忘れてて」
「もういいの」
このご時世街中の、それも、ど真ん中で見せつけるように堂々とキスしてる人もいるしね。
キス見られたからってそんな落ち込む必要なんてないって思ってみるけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
うーっとクッションを抱きしめ悶えてると、アイドルは楽しそうな声でこう言った。
「クッションじゃなくて俺の事抱きしめながら唸ってよ。だーかーら。ここおいで」
パンパンと自分の足と足の間を叩くアイドルの顔はキラキラしてる。
「それって正気?」
「当然正気。俺は夏芽ちゃん関係だと大マジだからね」
自信満々にそういうアイドルにドキッとしながら、クッションを置くとソファーから立ち上がる。