夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「じゃ、見に行こっか」
それから壱が行きたい場所を却下し、唇を尖らせた壱を説得して車を走らせる事1時間弱。
私の提案で大型ショッピングセンターに来た。
「あ、帽子忘れてる」
「本当だ。夏芽ちゃんと手繋いで買い物出来ると思ったらつい忘れてた」
黒の帽子を被った壱は私に手を差し出して、その手に絡めるように私も重ねた。
「どこから見ようか」
「食器とか?」
これから一緒に住むとなれば色んな物を買わなくちゃいけない。
私はまだアパートを解約していない為まだ一緒に住んではいない。
その事が壱は嫌みたいで、何度も何度も電話で私に引っ越してきてと言ってきて、今日だって区役所に行く時もそれでちょっと言い合いになった。