夫婦の始まりは一夜の過ちから。



「勘違いしてない?隆次さんは私の大事な友達の旦那さんなんだけど」

「え…?」





突然、立ち止まった壱。





「それって本当…?」

「うん」

「ごめん。どうしたらいい?俺はてっきりあの男は夏芽ちゃんとただならぬ関係を持ってる奴だと思って…。夏芽ちゃんの友達の家族に酷いこと言ってしまったよ」





あたふたと慌てる壱が振り向いて私の肩を軽く揺する。


その時の表情は焦っているからかいつもの表情とは違って、それがなんだか――





「あはははは」





突然笑い出す私を見て壱は焦りの表情からきょとんとした表情にかわった。


だって本当に本当に可愛いんだもん。


そしてなにより隆次さんにああいう態度を取った事が嬉しい。



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