夫婦の始まりは一夜の過ちから。



「次はどこ見る?私はどこでもいいよ」





はなしをかえてそう言えばさっきまでの表情とは打ってかわりキラキラの表示に戻る壱。


でも何処と無くさっきの事を引き摺っているみたいで、気にしないでよ!と言わんばかりに私は微笑むと背伸びをして壱の耳に唇を近付けた。





「あとで連絡しておくから平気だから私だけを考えて?今日は折角のデートなんだから」

「夏芽ちゃん…」

「今日は結婚初日なんだよ。私だって浮かれたいよ」





そう言ってから壱の腕に腕を絡ませば100%の笑顔があらわれた。


私はこの笑顔が好き。


壱の飾らない心から笑ってる笑顔が好き。


だってその笑顔はアイドルとしての笑顔ではなく、私のたった一人の旦那さんである壱そのままの笑顔だから――…






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