夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「しかも夏芽ちゃんはパジャマで、ちょっと寝癖ついてて、まだ俺と同じ匂いをしてて…」
「ごめんね。次からはちゃんとする」
「そのままでいいの!俺はそういう夏芽ちゃんが見たかったから」
壱は力を緩めてツンっと私の鼻を指の腹で擦るとそのままはなれていく。
靴篦を拾っている壱を手伝おうと私は鞄を拾う。
「夏芽ちゃん。ありがとう」
柔らかい微笑みがあられて、思わず私は壱から視線を外した。
こんな壱見てたら離れたくなくなる…!
そんな私の気持ちを知ってか知らずか壱は、クスクスと声を出して笑うと靴を取り出した。
「そういえば夏芽ちゃん」
「う、ん?」
「今日本当に一人でいくの?あれだったら俺と一緒に居る時にでもいいんだよ」