夫婦の始まりは一夜の過ちから。
悪いのは私。
もしも私が壱の立場で‘もしかして自分と出会う前の方が良かったって思ってる…?’なんて言われたら傷付くし悲しい。
そしてそれと同じくらい怒り。
「ご、めんなさい」
「謝る必要はないよ、ね?」
「あんな事言って本当ごめんなさい…」
「だから謝るなって!」
こんなはずじゃなかった。
壱の話し聞いてる時はこうなるとは思ってなかったのに…
「今話すのはもうやめよう」
「……」
「お互いの為にもその方がいいと思う。俺、外行ってくるから安心していいよ」
行かないで!とすがりたいのに身体が重く動こうとしない。
立ち上がりリビングから出ていく壱の背中を、ただただ眺める事しか私は出来なかった――…