夫婦の始まりは一夜の過ちから。



同じように私も立ち止まる。


そして、病院を出てから色んな事を聞かれていても閉ざしていた壱の口がゆっくりと開きそこから出てきたのは――





「色々聞きたい事はあると思いますが、後ほど行う会見で詳しくお伝えします。でも」





ざわざわしていたはずの周囲が静まり返りシャッター音しか聞こえなくなり。


隣で壱がごくりと生唾を飲み込んだのが分かった。





「一つここで言える事は俺の隣にいる、この女性は」





ニッと口角をあげてそう言った壱は、とっても素敵な笑顔を私に向けた後。


繋いでいた手をグッと引っ張り私はその衝撃でガクンとバランスを崩す。


そんな私の肩を優しく抱き。





「俺の最愛の奥さんという事です――…」






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