不器用なぼくら
太郎「戻ったよ~」



幸宏「もう長老遅いよ!お客さん待ってるんだから!」



山田「おめーのせいだろ!早く生クリーム作れ!」



幸宏「もぅ!!鬼!!」



言われた通りに買い出ししてきたのに怒られた



んま いつもの事か



みお「清水さんありがとうございました。ワッフル助かりました」



太郎「よかったーワッフル助かって」



シュン「何その“ワッフル助かりました”って(笑)」












さて2階に戻るか



雑貨のフロアでは廉が品出しをしていた



廉「あ、ダーリンおかえり」



太郎「ただいまー。あれ?今品出ししてんのって・・・」



廉「今日届いてたやつ。中身は確認したから」



そう 廉ってば顔がいいだけじゃなくて



仕事もできるんだなこれが



それに比べて俺ってだめだめー



太郎「じゃー俺はPOP作ろうかな」



廉「ファイルそこに置いといたから」



太郎「がってんだ。・・・あ、廉」



廉「ん?何?」



太郎「さっき商店街で由美ちゃんに会ったよ」



一瞬だけ 品出しをしてる廉の動きが止まった



でもすぐ普通に品出しを再開した



廉「何か言ってた?」



太郎「心配してるみたいだったよ。・・・大丈夫?」



廉「・・・うん。平気」



ちょっとだけ切なそうに笑った廉



廉はあんまり強くない



実は弱くて簡単に壊れちゃう人



唯一俺と山さんだけが知ってる廉の話



それが分かってるから 時々心配になるんだ



廉は1人でいられない人だから









「こんにちはー!」



太郎「いらっしゃーい」



廉「いらっしゃいませ」



「今日カフェのフロアにいなかったからお休みなのかと思ったー」



「そうそう!廉あんまり構ってくれないんだもん」



廉「今日は雑貨だから。カフェで何か頼んだ?」



「廉がいてくれたら頼もうかなって思ってたんだけど」



「会えたからもう満足かなーって」



廉「せっかくだからお茶してきなよ。席取ってきてあげるから。ね?」



おぉ 出た



廉の営業スマイル



お客の女の子2人が顔を真っ赤にして



廉の言うままにカフェに連れられていった



・・・廉って人はすごいな



しみじみ思いながらマジックでPOPをかいていた



























廉「ダーリン。休憩いってきなよ」



太郎「やったー!休憩嬉しい」



廉「スタッフルームのテーブルにユキが失敗したワッフルあるから食べていいよって」



太郎「よく失敗してくれた。ユキちゃんに感謝」



廉「いや、店的には困るから」



のろのろ歩いてスタッフルームに入った



廉の言うようにテーブルには形の悪いワッフルが置いてあった



あ 俺生クリーム欲しいんだけど・・・



そう思っているとドアが開いた



みお「あ、清水さん。休憩ですか?」



太郎「うん。田中さんも?」



みお「はい!ユキちゃんが失敗したワッフルを食べに来ました」



太郎「あ、でも生クリームとかないの」



みお「ユキちゃんからもらってきました!内緒でいちごの切れ端ももらいました(笑)」



太郎「マジ?すげぇ準備いいじゃん(笑)」



田中さんに生クリームをわけてもらって



俺は裏口に向かった



みお「清水さん。私も裏口で食べていいですか?」



太郎「え?あ、うん」



日の当たる裏口の踊り場



並んで座った俺たち



あー・・・あったかいしワッフルうまいし



幸せだな・・・



みお「おいしいですねワッフル」



太郎「うん。俺このままワッフルになりたい」



みお「よく分かりませんが(笑)」



それから無心になってワッフルを食べていると



田中さんが笑いながら話した



みお「今日お客様に言われたんです」



太郎「ん?」



みお「“廉って今日はお休みですか?”って(笑)一体廉は何者なんだろうって思いました」



あぁ あの2階に上がってきた2人組のお客か



みお「“2階にいますよ”って教えてあげたんです。もちろんお客様は2階にすぐ向かったんですけどすぐ廉が連れて戻ってきたんです」



太郎「うん。俺もそれ見てた」



みお「そのままお客様を巧みな話術で惑わせて飲み物とワッフルを頼ませてました(笑)」



すごいですよねーって笑ってる田中さん



んー どうやら前よりも廉とは仲良くなれてるみたい



よかったな



みお「あの・・・ちょっと聞いてもいいですか?」



太郎「ん?」




すると田中さんはまたぽつりと話始めた


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