不器用なぼくら

俺が思うに

ゴールデンウィークも終わった5月中旬



お店は穏やかに時間が過ぎてると思う



うん 俺はそう思う



さえ「いらっしゃいませ!2名様ですか?」



シュン「お待たせしました。コーヒーのお客様」



幸宏「・・・あぁ!!ワッフルの生クリーム切れそう!!」



山田「バカ!今朝の買い出しの時に買ってこいっつったろ!!」


みお「店長さん。ワッフル2つです!」



幸宏「ぎゃー!!さっそく注文入っちゃった!!」



1階のカフェはすげー忙しそう



俺もね 前まではカフェのフロアやってたんだけど



あんまりにものろのろしてるから



山さんが俺をばたばたしない2階の雑貨に移動させたの



いやー・・・俺だってね



別にのろのろしたくてしてるわけじゃないし



ただ機敏さにかけるっつーか



・・・まぁいいのだ 俺雑貨好きだから



あ、そうだ



今日届いてる荷物まだ確認してないや



前発注かけたカップ来てるかなー



みお「あ!清水さん、清水さん」



階段から降りてくる俺を見つけて声をかけてきたのは



新人の田中さん



太郎「ん?どしたの?」



みお「ユキちゃんがワッフルの生クリームを今朝の買い出しで忘れちゃったみたいで。買い出しをお願いしたいんですけどいいですか?」



太郎「いーけど。でもそれまで2階どーすんの?」



みお「あ、私がそれまでは見てこいって店長さんが。雑貨ほとんどやった事ないんですけど・・・廉がすぐ来てくれるみたいなので」



太郎「がってんだー」



まだ荷物確認できてねーけど・・・まぁいっか



廉がなんとかしてくれるだろうし



山さんからお金をもらった俺は店を出た



すると店前でバイクの音が聞こえた



うん ありゃ廉だ 間違いない




店の脇にバイクをとめ、ヘルメットを取る姿



男の俺が見てもかっこいいって思うよ




廉「あ、ダーリンおはよ。どこ行くの」



太郎「ユキちゃん生クリーム忘れちった」



廉「・・・あぁ。買い出しね」



少ない説明だけで話が通じるんだもん



愛だよね 愛



廉「今2階誰やってんの?シュン君?」



太郎「いや、田中さんだけど」



廉「・・・あそ。分かった。いってらっしゃい」



太郎「あ、うん」



いや、あのね 俺自分で言うのもなんだけど



普段ぼんやりしてる事が多いから



人間観察っていうの?しちゃうんだよね



もちろん皆の事も見てるんだけど



ちょっとした変化とか感じちゃうんだよ



例えばユキちゃん



由美ちゃんに会えてすげー嬉しそうだったでしょ?



でもその日 なんとなくおかしかったじゃん



廉と由美ちゃんの様子が 空気が



どことなーくいつもと違う気がしてんだ



でも まぁ



人を好きになるのは自由だと思ってるから



うん それはそれでいいと思う



それも青春なんだ



頭で色々考えながら高台の下にある商店街に向かった



いつも買い出しに行くスーパーで生クリームを買って



すぐに戻ろうとすると聞き覚えのある声がした













由美「太郎君」



太郎「あ、由美ちゃん。前はありがとうね」



由美「いえいえ!お父さんがね、またおいでって言ってた」



太郎「うん。また皆で行くね」



由美「・・・あのさ太郎君。廉ってお店来てる?」



太郎「へ?廉?シフト通りにバイト来てるけど」



すると由美ちゃんは何とも言えない表情をした



何かあったのかな



由美「・・・そっか。ならいいの。ごめんね急に」



太郎「廉に伝えとこうか?」



由美「ううん!大丈夫!それじゃ!」



そのまま小走りで走っていった由美ちゃんの背中を見ていた



何かあったみたいだけど・・・2人の問題だもんね



とりあえず廉には由美ちゃんが心配してた事だけ伝えようかな



そんな事を考えながらお店に戻った






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