不器用なぼくら
雨の降る中 



俺はカッパを着て買い出しに出た



んーと・・・あとはアレだけかな・・・



商店街をウロウロしながらも目は由美ちゃんを探してる



視力はむだに良い



さぁ俺の目! 由美ちゃんを見つけるんだ!



すると目線の先に見たことのある背中



あ・・・あの傘



幸宏「由美ちゃん!」



俺の声で振り返ったのは間違いなく由美ちゃんだった



青色のキレイな傘で分かった



あの傘は俺らが由美ちゃんにあげたやつだから



由美「ユキ!今日はバイトじゃないの?」



幸宏「今買い出し中なんだー!」



由美「そうなんだ。あ、メールごめんね。返すの遅れて」



幸宏「いや、いいんだって!俺が暇で送ちゃってるんだし」



違う 暇だから送ってる訳じゃない



俺がメールしたいから送ってるんだ!



何を言い出すんだ俺の口は!




由美「ユキ雨に濡れちゃってる。風邪ひかないでね?」



幸宏「任せてよ!バカは風邪ひかないんだから!」



待てよ・・・今の会話の流れだったら



“もし風邪ひいちゃったら看病しに来てくれる”的な事言えたよね?



あぁー!!!! 俺失敗!!!



由美「そだ、みんなは元気にしてる?」



幸宏「もちろん!皆元気元気だよー!」
















由美「廉も・・・元気にしてる?」
















幸宏「あ・・・うん!廉も変わらずだよ!」



由美「そっか!あ、じゃ私そろそろ行くね!バイト頑張ってね!」



幸宏「おう!」



由美「じゃ、またねユキ!」



軽く手を振って俺に笑いかけた由美ちゃん



小さくなる傘をぼんやり眺めながら



俺は心で思っているあの気持ちをもみ消した



さてと・・・



お店戻んなきゃ







その前にあとアレ買わなきゃだ




冷たい雨が俺の体を冷やしていった

















幸宏「ただいま戻りました~!」



山田「おぉ!ユキありがとうな!」



幸宏「いーよ!あ、これお釣り!」



廉「ユキずぶ濡れじゃん。はい、タオル使えよ」



スッとさりげなくタオルを俺に差し出した廉



思わずじーーっと見つめた



廉「何」



幸宏「いや・・・別に!」



廉「風邪ひくから早く拭けよ」



幸宏「あ、うん」




例えばね



廉がすげー嫌な奴だったらよかったんだよ



だけどさ 違うじゃん



すごいいい奴じゃん



だから俺はどうしていいのか分かんないんだ



廉のせいでも 由美ちゃんのせいでも




誰のせいでもない




ただ 俺のせいなんだ
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