泣いていたのは、僕だった。

side翔一




―翔一side―



静との一件があってから一夜が明けた。



あれから真司の様子が変だ。


なにを言っても上の空で、ぼーっとしてることが多い。



今も部屋に閉じこもって出てこない。



「……………」
「――そんなに気になるんなら、中入って来ればいいだろ。」


いつの間にか隣に隆が立っていた。



「…なんて声かけたらいいか分かんねーし。」
「んなもん適当だろ。普通に会話してこいよ。思ったことぶつけてやれ。」


やれやれと隆は頭を掻いた。



「翔一にしか出来ないことなんですよ。真司を元気づけるのは。」
「…………」



創に微笑みかけられると何も言えなくなる。



「暗い路地裏でどうして真司は翔一を見つけることが出来たんでしょうね。」
「……………」
「雨の中、どうしてアナタを助けたんでしょうね。僕は真司と翔一の事を充分に知ってるとは思ってません。だからこれから知っていきたいと思っています。」



隆と微笑み合う創に俺は、一つの疑問をぶつけた。


そしたら創は目を丸くして、



「真司はそう言っていましたよ?」



と言った。




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