泣いていたのは、僕だった。



「まぁ、別にいいけどよ。」



俺も口を閉ざし、煙を深く吸う。
肺まで到達する煙が心地良い。

「けどね、」


唐突に真司は笑った。


「僕は間違いなく翔一に助けられた。翔一だけじゃなく、創くんや隆くんにもね。」
「俺……?」
「うん。」



真司は照れくさそうに頷いた。


正直驚いた。

こんな事言われるなんてな。



コイツ、マジで変わったな…。


「……なぁ、何であんなこと言ったんだ?」
「ん?」
「翔一にだよ。」



真司は理解したように遠い目をした。



「僕は決めたんだ。死ぬなら大切な人の側で。大切な人の手でって。」
「つまり翔一は大切ってことか。」



それに返答はなかった。



「けどよ、アイツの気持ちも考えてやれよ。」



煙草を吸い終えて、俺は中へと戻った。


中では対戦を終えた創と翔一がゲーム機を片づけている最中だった。


翔一が俺に気づいて、面白くなさそうに頬を膨らませる。


「隆!後片付けもしねーで煙草ばっか吸うなよな!!」


近付いてきた翔一の頭に軽く手を乗せてみた。


「なっ…なんだよ?」


翔一は怪訝に俺を見上げた。



「バカな奴らだな。ま、俺もか」
「はぁ!?意味わかんねー」
「わかんなくていいんだよ、ガキは」
「だぁれがガキだ!」
「おめぇだよ、ガキ」
「んだと!?」
「るせーな。俺は寝るぜ。」



部屋に入るとき笑う創と目があった。


その目が、本当にバカですね。僕もアナタも、と物語っているようだった。



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