マスカレードに誘われて

「このままじゃ、挟み撃ちになっちゃう!!」

ロイが絶望的な声をあげる。
腕の中で、ピクリとイヴが反応する。

「あそこの部屋に入りましょう!」

キースが指すのは、右側にある一枚の扉。
何の部屋だったかは、全く覚えていない。

「でも、助かると言う確信はないよ!」

「それでも、挟み撃ちになって引き込まれてしまうよりかは、助かる確率は上がると思います」

「……」

キースの言っていることは、間違っていない。
彼の提案にどうこう言うより、今はそれにすがるしかないようだ。

ロイは頷き、その扉へと駆け寄った。

キースが扉を開け、彼は慌てたように部屋に入った。
続いてキースが部屋に入る。

彼が扉を閉めると同時に、廊下から轟音が轟いてきた。
割りと厚い、この部屋の扉を鳴らす。

キースは扉から一歩、足を引いた。
ロイはイヴを下ろし、扉の方を向く。

辺りに訪れるのは、永遠とも思える静寂。
何の音も聞こえてこない。

誰も扉に近付こうとする者はいなかった。


< 85 / 164 >

この作品をシェア

pagetop