桜の木の下で～好きになってはいけない人～

帰宅後、二人はすぐに居間へと通された。

｢冬樹と陽季、美鈴は今日一日どうしてた。｣

｢残念ながら私には、学校での様子はわかりません。ただ、お嬢様に門で待ってとろと言われたので、ずっと待っておりました。｣

これは間違いもなく事実だ。学校の中だけは、入れてくれないのだ。

｢学校の様子でしたら、おじ様俺が話します。美鈴ちゃんは、授業後にいつも通り、生徒会へと向かっております。ただ、いつもと違うのが、副会長であられます、水前寺家のお嬢様がお休みで、一人で向かってました。｣

｢なるほどな･･･なら同じ生徒会の陽季は、どうして一緒に行かなかった。｣

｢それは先に資料を届けに職員室へ行っておりました。職員室を後にしたら、外に坂井さんがいたのでここまで、一緒に参りました。｣

｢やはり、そう時間はたってないか。｣

陽季が話終えると、木之本と美鈴のお父さんは少し考えはじめた。

｢冬樹これから大変なるぞ｣

｢かしこまりました。｣

｢陽季も、仁科の血をひくからな･･･しばらく学校休んだ方がいいだろうな。｣

｢はい｣

｢落ち着いて聞くんだ｣


｢美鈴お嬢様が攫われた｣


木之本が言葉を紡いだ瞬間、部屋が静まり返った。