青春と幼なじみ
「・・・―で、あるからに・・・」
無事に入学式に出れた。
「ふぁー・・・。
この校長話がなげぇな。
だるくなってきたぜ・・・」
「南、もうちょっと我慢しなよ〜」
「ははは、南は我慢するの苦手だからなー」
こそこそと三人で話す。
よかった。
席が近くで・・・。
「えー、これで終わります」
校長が頭を下げて階段を下りる。
「はぁ、やっと終わったか・・・。
なげぇんだよ」
「もう入学式終わるね」
「あぁ」
「これで、入学式を終わります。
新入生はHRがあるので、教室にいてください。
2年生は・・・」
式の幕が閉じ、私たち新入生は2・3年生より早く体育館から出た。
「教室か〜。
席近くだといいね」
「そうだな」
「俺たち遅刻して教室に入る前に体育館に行ったからなー。
誰かさんのおかげで」
「む〜、南まだそれ根に持ってるの〜?」
「当たり前だ。
入学式そうそう遅刻するやつがあるか!」
「南は器が小さすぎなんだよ〜!」
「なんだと〜!」
ゴツンと南におでこを小突かれる。
「痛〜!」
「悪口言ったバツだ!」
「南のばか〜!」
「はいはい、二人ともその辺で止めとけ。
もう教室に着いたぞ」
「「あ・・・」」
言い合ってて気づかなかった。
私たちの目の前には『1年B組』と書かれた札と、扉があった。
ガラッと葉月が扉を引いて中に入る。
すでに中に入っていた人たちの視線が集まる。
「し、知らない人たちばかりだね・・・」
隣にいた南の服の裾に掴まり、少し怖くて体を寄せた。
「なっ!
葵離れろよ!」
そう言って体を離した南はなぜか少し赤くなっていた。
「そんなに拒絶しなくても・・・」
さすがの私でも少しへこむ。
「あっ、わ、わりぃ・・・」
南は気づいたように困った顔をして謝った。
「二人とも、何してるんだ?
早く中に入ろう」
「あ、うん・・・」
「おう・・・」
何だか気まずい空気・・・。
どうしちゃったんだろ、南。
さっきの南はいつもと何か違ってた・・・。