青春と幼なじみ



「みんなー、元気に新学期登校してるな。
感心感心!」




HRで久しぶりに先生の顔を見る。




いや、久しぶりでもないかも…。




…ていうか、忘れてた。




私の隣って……。




「……い、葵…」




「…葵、聞いてんのか?」



「へ!?」




「ったく…。」




私の隣って、南だった!




「ご、ごめん。
何…?」




「……おい。
窓の方見て謝られてもな…。
俺は反対だぞ」




「き、気にしないで…」




どうしよう、どうしよう!



体全部の脈がドクドクいってる!




今の席でも嬉しいけど、心臓が持たない!




あぁ〜、早く席替えしたい!




「…―つー訳で、今日席替えすんぞー」




「え!?」




マジ!?




やった!




さすが先生、私の思いが通じたんだね!?




「じゃぁ席替え―…の前に、新しくお前らの仲間になる奴が来た」




へ?




それはもしや…。




「転校生!?」




私が思ってたことを誰かが叫んだ。




「何、女!?男!?」




「そう慌てるな。
ほら、入れ」




「失礼…します」




ガラッと扉を開けて、入ってきた子は、肩ぐらいまである茶色髪の可愛い女の子だった。




「「女の子来た〜!!」」



半分ぐらいの男子が声を揃えて叫ぶ。




「おーい、静かにしろ。
じゃ、自己紹介頼む」




「えっと…。
七海 琉衣です。
よろしくお願いします」




ペコリと小さくお辞儀する。




「かわえぇ〜!」




「よろしくー!」




男子からの印象は良かったみたいだ。




「んじゃ、七海の机は、左の一番後ろにあるから。
で、来てそうそうで悪いんだが、席替えをするんだ」



「はい、構いません」




「そうか。
じゃ、みんな。
俺が黒板に場所の番号書いとくから、ここに用意してあるクジから適当に引いて動けー」




ざわざわと騒がしくなる。



「俺後ろがいいなー」




「そっか。
私はどこでもいいかな」




南の隣じゃなければどこでも…。




「おい、次葵だぞ?」




「あ、うん」




これで南と離れられる…。



「えっと…23番…」




……あれ?




今の所と変わんないじゃん。




「葵、どこだった?」




「今のとこ」




「は?
お前移動しねぇのかよ?
ハハハ、ついてねぇな」




「い、いいもん。
後ろだし」




「ふーん。
…俺もまた、この場所がいいな…」




「え?」




「何でもねぇよ。
おっ、次俺だ」




そう言ってガタッと立ってクジを引きに行った。




…今だにちゃんと目を合わせて会話ができない…。




南、変に思ってないかな…。













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