青春と幼なじみ
席替えの結果…。
なんとか私の隣は南ではなくなった。
その代わり、南の隣は葉月、私の隣は転校生。
という風になった。
葉月がいるなら私もそっちに行きたかった…。
「あの…隣よろしくお願いします」
「あ、うん。
よろしく」
いきなり隣から声をかけられてびっくりした。
えっと確か、七海さん…だったよね?
何だか大人しそうな人だ…。
「あ、私東月葵」
「東月…葵?」
名前を聞いて、彼女は考えこんでしまった。
あれ、私変なこと何か言ったっけ?
「……もしかして、あおちゃん?」
「へ?」
あおちゃん?
「えっと…あおちゃんって?」
「あ、人違いだったらごめんなさい。
昔よく遊んでた子で、東月さんと同じ名前の「東月葵」って女の子がいたんです。
もしかしてその子かなって…」
東月葵…。
もしかして同性同名?
すごいな…。
「…やっぱり人違いですかね?」
「う〜ん、私あんまり昔のこと覚えてないからな〜」
あ、そうだ。
昔からずっと一緒だった二人に聞けば何か分かるかな?
「南〜、葉月〜。
ちょっと来て〜」
私は離れた席の二人を呼んだ。
「…南?
葉月?」
「何だよ、でかい声出して」
「何かあったの?」
「うん、まぁ。
ねぇ、私って昔よく一緒に遊んでた女の子の知り合いていた?」
「は…?
…さぁ、俺は覚えてねぇな」
「そっか。
葉月は?」
「う〜ん、ちょっと待って。
…ねぇ、その女の子って小学2年生ぐらいで転校してった子?」
「小2で転校してった…?」
「……あ、何か思い出してきた。
そうだよ。
確かに私たちといつも一緒に遊んでた子がいた」
「何か俺もうっすらと思い出してきた。
確かそいつ女だったよな」
「うん、大人しくて、可愛い。
確か名前は……」
数十秒の沈黙。
………。
「「「……あ、七海琉衣!」」
え、七海琉衣って…。
「みなさん、やっと思い出してくれたんですか?」
もしかして、あの時の子が…。
「琉衣ちゃん?」
「はい。
そうですよ」
にこっとしてうなずく。
…まさかまた再会できるとは思わなかった。
もう一人の、幼なじみに…。