御劔 光の風2
安心しきった笑顔。

日向たちは黙ってその様子を見ていた。

「リュナ…やっと会えた。」

言葉の通り懐かしむようにリュナの姿を見つめる二人には、張り詰めていた心が溶かされるような空気があった。

そして女性は日向の方に視線を合わせて穏やかに微笑む。

「鍵は…貴方だったのね。火の力を持つ人、名前を教えてくれる?」

「日向。」

「ありがとう、日向。私は瑛琳、彼は千羅。私たちはこの子…リュナの仲間なのよ。」

瑛琳はそう言うと一歩前に出て手を差し出し握手を求めた。

日向はあわててその手を握る。

「この場所は分かっていた。だけど鍵が見つからなかったの。火の力を持つ炎神、貴方が鍵だったのね。」

握られた手、向けられた想いと視線が痛い。

強い意志が瑛琳には宿っている、日向はその思いに身体の自由を奪われたようだ。

やがて手は離され、瑛琳は圧倒されたままの日向を残し千羅の傍に戻った。

二人は本当に心の底から安心と喜びを感じている。

< 381 / 452 >

この作品をシェア

pagetop