ヤサオトコ

 「橋詰部長、やはり怒っておられましたか」


 沈んだ声で、栗崎が田原に尋ねた。


 「お前、怒られるような事でもしたんか」
 「・・・」


 「まさか、腹が痛うなって、部長に失礼な事せんかったやろな」
 「それが・・・余りお腹が痛かったもんで、先に失礼しました」


 「先に失礼やと。部長をほったらかしてか。」
 「いけなかったでしょうか」


 「この役立たずが・・・」

 
 田原が怒鳴り声を上げた。


 「すみません」


 「部長が機嫌を損ねたらどうするつもりや。お前、どう責任取るつもりや」
 「・・・」


 栗崎は一瞬不安になった。




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