ヤサオトコ


 「今、出て行った人、プローポーズをされた人でしょう」


 思い切って、栗崎が房江に尋ねた。


 「何でわかったん」
 「勘ですよ」


 「しゃあないな。実は、今も返事をせがまれてなあ。往生していたとこや」
 「されたのですか」


 「まあな」
 「まさか、受けたんじゃないですよね」


 栗崎が真顔で大きな声を出した。

 「何で」
 「べ、別に」


 「断ったわ」


 房江がぽつりと言った。


 (良かった)


 栗崎は心底胸を撫で下ろした。





< 178 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop