ヤサオトコ

 「嬉しいわ」


 房江は心から嬉しかった。


 「僕も」


 栗崎は、ほんの少し嬉しかった。


 「嬉しいわ」
 「・・・」


 「超嬉しいわ」
 「・・・」



 栗崎は呆気に取られて、ただ目をパチクリとさせていた。



 「人生最高のバレンタインデーをくれるやなんて・・・うううう・・・」




 ジュウ。



 鉄板の上に、一粒水滴が落ちた
 それは、房江の涙だった。







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