ヤサオトコ

 月曜日。
 土日は休んでいた雷が、また暴れ出したのだ。


 栗崎は蹲っていた便器から立ち上がった。
 何とか、痛みは治まっていた。


 「有難い」


 会社を休みたかった。が、休む事は出来なかった。
 ひ弱な心に鞭打つと、栗崎は会社へと向かった。

 
 広告代理店 千通は本町にあった。
 大学を卒業して以来、栗崎は千通に勤めていた。


 御堂筋からすぐ近くの5階建ての建物。
 その3階にある営業部に、栗崎は重たい足を引き入れた。






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