不思議な国の物語
その日の一時間目は大嫌いな
数学でしかも朝一番という事もあって
桃華は、うとうとし始めていた。
眠い……
「ここテスト出るぞー」
先生の声がだんだんと
遠のいていく。
あぁ、ノート取らな…きゃ…
──────────…………
「桃華」
「…………………………魁焔」
紫色の空。
一面の星にキラキラ光る川。
私寝ちゃったんだ…。
「桃華……ごめん」
川の向こう岸で
俯きながら謝る魁焔。
彼はきっと昨晩の
あるまじき行動を謝っているんだろう。
あぁ、なんか魁焔に耳と尻尾が見える。
まるで飼い主に怒られて落ち込んでいる
犬みたい。
「もーあんな事しない………………多分」
「ちょ、何最後の多分は!」
「だって桃華が……」
魁焔はチラッと桃華を
横目で見ながら心なしか
顔を赤く染めながら言った。
え、私?