未来へのボール*WINTER*
《ガチャッ!》
屋上のドアを乱暴に開ける。
「………チッ。」
見渡す限り、誰も居ない。
………漫画じゃあるまいし、
そう簡単に見つかるはず無いよな。
屋上から校門を見ても、誰も居ない。
この時間帯なら当たり前か。
「……っ、はぁーー…。」
荒くなった息が整ってきた。
息は真っ白だ。汗が冷えてきた。
手に握られたラルの退部届。
大分グシャグシャになっていた。
《………カサッ》
もう1度、それを広げてみた。
…顧問に、渡したくない。
今すぐにここで破ってしまいたかった。
俺には、何も出来ないと言うのに。