未来へのボール*WINTER*

Ⅶ 踏み出す1歩


〔side朔杜〕


「なぁー、サクー。」


「…。」


「サクー。サクってばぁー。」


「…。」


「…ラルにベタ惚れなサクたーん。」


「………テメェ。」


「いやん。そんな目で見ないでー。

レム君かなしーい。」


「……なぁレム。紙辞書と電子辞書、

どっちの角が硬くて痛いと思う?」


「すみませんごめんなさい

もう言いませんから許して下さい。」

……無駄な労力を使わずに済んだ。


「だってサクさぁ。

最近元気ねーじゃんよー。」


「は?」

レムは、俺が座っている席の

前の席に後ろ向きで座っている。


本来、そこはレムの席ではないが

放課後であるため、レムが座っていても

誰にも支障はなかった。


「今日だって、

久々の部活無しの放課後なのによー。

サクってば教室に1人寂しく残って

部活の予定立ててるしー。」


「…部長が部活の予定立てるのは

自然なことだし、それを

どこでやろうと俺の勝手だろうが。」

てか、今までも普通に

放課後教室で作ってたことあるっての。


「えー…そうだっけかぁ。」

レムの軽い口調に、

イライラと何かが蠢いている。




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