未来へのボール*WINTER*

「まぁ、サクにしてみればいつも通りな

つもりなんだろーけどさ。」


「…は?」


「最近のサク、なーんか機嫌悪いよな。

ま、それを周りに感じさせまいと

する所は良いとして。

俺にはもろバレーー。」

ズイ、と無駄に顔を近付けてくる。


レムの顔が近付いて、

そこで漸く俺はレムの顔を見た。


…ニヤニヤしてると思ってたのに、

レムの顔は無表情だった。


「ラル、部活辞めた?」


「…籍は残ってる。」


「んー、じゃ、退部届けでも貰ったか。」


「……。」


「…(あー、貰ったのね)。」

ラルが俺に渡してきた茶封筒は、

まだ俺の鞄の中にあった。


正式に退部と認められる為には、

部長か顧問に退部届けを

提出しなければならない。


勿論、ラルのそれは

俺が受け取った訳だが…

顧問に渡していない。


「んで?

部員にはラルが退部しましたー

なんて言えなくて、

いじけてるってこと?」


「……ちげぇ。」

一々、こいつの言い回しがイラつく。


「もー、何なのマジでお前。

ラルとちゃんと話して来いよ。」


「はぁ?」


「どーせ退部の紙っぺら貰ってから

ロクに話してないんだろー?」


「……。」


「…マジかよ。

何?ラル、不登校か何か?」


「……休み時間、どの時間に行っても

何処にも居ねえんだよ。」

鞄は、机にあるのに。





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