悪魔は人に依存する


「はい。私を愛するから、嫌いです」


「俺は?」


「分かっているくせにー」


シキミを愛していいのは、アガトだけに与えられた特権。


「愛させてください、アガト」


代わりに、あなただけを愛すると、彼にも同じ特権(立ち位置)を与えた。


相思相愛の果て。
視界にはもはや、愛する人しか映らない。


「シキミがしたいようにして。俺はただ、愛し続けるだけだから」


何があっても、こうして君が、俺だけを見てくれると分かっているから――


「それが、俺の全て(シキミ)だ」


誓い立てのような柔らかな口付けを一つ。


血臭漂う場所でも、二人でいるならば楽園だ。


互いに互いしか、意識をしていないのだから――


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