悪魔は人に依存する
「ほんと、壊れちゃいましたねー。アガトは」
それでも離さないと、シキミは彼を抱く。
「捨てませんよ、殺しません。ああ、私があなたを殺すときは――私が死ぬときですよ」
死んでも、離さない。
「私は、あなたしか愛せないんだから」
その言葉で、感極まる。ああ、シキミだ、と『彼の頭の中の彼女』はいつものように愛してくれている。
「やっぱり、こいつを殺して良かった」
おかしなことばかりを口にした、こいつを。『本当のシキミ』を語ってみせた、虚言者は、やはり要らなかった。
「シキミは、こいつのこと嫌いだよね?」