悪魔は人に依存する


最初から殴る気なんかないらしく、むっとしながらでも座るシキミは、机にあったナイフで軽く指先を切る。


「アガトがどんなにその血を嫌おうとも、その血があるからこそ、アガトは温かいんですからね」


「生きていられるってこと?」


頷いたシキミが、アガト専用のポット――紅茶の中に指先から落ちる血を加えた。


シキミの血は甘くて濃厚。その味を知るアガトにしてみれば、これでより、紅茶が甘(おいし)くなったなと思えた。


「恨むなとまでは言いませんが、落ち込まないでくださいよ。少なくとも、悪いことばかりじゃないでしょうし」


「――、そうだね」


指を引っ込めるところを止め、滴る血を直に舐めた。


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