悪魔は人に依存する
オドエーヌの口車に乗せられている気がしても、窓の外を見てしまう自分がいた。
「俺は……」
シキミを信じている。ならば、確かめる必要性などない。ふざけた奴のお遊びに付き合わず、このまま帰してもらえばいいものの。
「……」
握りしめた宝石が、ごりっと手のひらに当たる。
「……、シキミ」
そうだ、早く。
「彼女が、望んだ物を」
届けなきゃいけない。
思うや否や、アガトは部屋からいなくなっていた。
よほど急いで飛んだのだろう。大きくばたつかせた拍子に取れた一枚の羽をオドエーヌは指で掴み、くるくる回す。
「魔性ねん、シキミもん」
まったくもってそうだと、オドエーヌは羽を手放した。