悪魔は人に依存する
優劣の優が、劣を叩き何がいけない。
糾弾され、恨まれる筋合いもないし、そもそも、この汚点自身が分かっているのだ。
「私たちに罵倒される存在だと、今も噛み締めているだろう?」
何もできない弱者。
実際、こうしてノエマの前に立っても、アガトは何もせず――
「なんだ……?」
不動のままたるアガトに、ノエマは眉をひそめた。
刃向かわずにいたのは、臆しているからと思っていたが、ならばなぜ逃げない?
久方ぶりに見た姿はそのままでも、今のアガトが昔と違うと感じられた。
夕暮れの影法師。
今にも消え入りそうな気配のくせして、目に焼き付き、視界から脳内を焦がしていくような。